2014年10月の経済レポート

メイヤー・インターナショナルのリチャード・ケインは、最近の国内株式市場の下落についての考察をまとめました。国内株式市場は、9月25日を高値として下落に転じており、本日(10月16日)まででTOPIX(東証株価指

数)は高値から11.2%下落、日経平均株価は同じく10.0%下落しています。主な下落要因は、米国株の下落と円高ですが、その背景をみると様々な要因が考えられます。イスラム国が欧米でテロを計画したり、ウクライナ政府軍と親ロシア勢力が衝突したり。米国でエボラ出血熱患者が発生したことも挙げられるでしょう。

まとめると、ドイツを中心とする欧州の景気懸念、米国の景気指標下振れ、国内景気の停滞継続懸念、エボラ出血熱の感染拡大懸念、イスラム国、ウクライナ、が大きな原因といえるでしょう。

リチャード・ケインは、世界の状況と投資は密接に関係していると考えています。そのため、世界の動向には常に気を配っています。

現在の市場参加者の不安は、悪材料が重なったことで過度に増幅されている面が大きいと思われます。9月と10月は、ファンドの決算などによって生じる一時的な需給悪化で、調整が起こりやすい時期です。そのようなタイミングで環境が悪化したことで、株価の下落も激しくなったのではないかと考えられます。

また、投資部門別の売買動向によると、最近の株価下落は株の売りというよりも、海外投資家の先物売りが主導しているとみることができますが、これも株価下落の要因として一時的な需給悪化が影響しているのではないかと考えられます。それら一時的な需給悪化が落ち着いてくれば、下落した株価はファンダメンタルズとの関係で割安になっているとみられ、投資家の見直しの動きが強まることで、市場全体も回復に向かうと見込まれます。当然、政府と日銀が、景気先行き懸念や株安・円高の行き過ぎに対しては、何らかの政策対応をとると多くの投資家が想定するであろうことも、見直しの動きを促進する効果があると考えられます。

 

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日本アジアウェルスマネジメント

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リチャード・メイヤー・ケイン

カナダ・モントリオール州ケベック生まれ。

ロンドンに上場するアジア・ウェルス・グループの代表取締役。東京で、メイヤーグループの代表を15年務めた後、現在アキコ夫人と二児とともにバンコク在住。

リチャード・ケインは、アジアにおける資産マネジメントについて、19年以上の実績を持つ。日本人に対しても、国際税務、資産管理に関するコンサルティングを行う。